移動販売車を導入するケースも多い
移動販売車を導入するケースも多い

 ドローン配送の利用者は、ケーブルテレビの画面で午前11時までに商品を注文すると、午後にはドローンが最寄りの公民館やグラウンドに商品を届けてくれる。これをボランティアが各戸に届けている。

「自治体としては商品を運ぶだけでなく、動けない方などの見守りの役割もしている」(同)

 利用者は手数料(配送料)として月1千円を負担する。商品の値段は、一番近くのスーパーの店頭価格になる。ケーブルテレビの注文を受けて決済をする仕組みで、キャッシュレスという。

 ドローンの運航は地元の企業に委託している。商品は重量5キロまで運べ、運航距離は片道で最大11キロだ。

 市担当者は「ドローン運航のランニングコストはあまりかからないが、かかわる人にお金がかかっている。いろいろなところで人手が必要になる」という。

 たとえば、スーパーで商品を仕分け、スーパーからドローン基地まで運ぶのに人手がいる。

 伊那市のドローン配送は当初100品目くらいからスタートし、最近は430品目くらいまで拡大している。利用者のリクエストで、スーパーの特売品や、土用のウナギなども扱う。また、対象のスーパーだけでなく、最近はその周辺の花屋やドラッグストアなどの商品にも取り扱いを広げている。

 ドローンは離島での配送に威力を発揮する。五島市は長崎県の西方海上の約100キロにある。五島列島の南西部となり、有人11、無人52の島々だ。人口は1955年の約9万2千人から今年5月末に約3万5千人まで減少し、高齢化率も40%を超える。

 五島市でも買い物支援などに、ドローンを使った実証実験を実施している。農作物の作付け確認や海岸の漂着物を監視するのにも役立っている。今春には、豊田通商がグループ会社を設立し、五島列島で医療用医薬品のドローン配送事業を始めた。

 医療用医薬品の配送について、五島市の担当者は「定期船は欠航になると船が出せない。ドローン配送は住民のライフラインになる」と話す。

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