
AERAで連載中の「この人この本」では、いま読んでおくべき一冊を取り上げ、そこに込めた思いや舞台裏を著者にインタビュー。
【写真】秀島史香さんの『なぜか聴きたくなる人の話し方』はこちら
『なぜか聴きたくなる人の話し方』は、秀島史香さんの著書。耳だけで楽しめるように試行錯誤するラジオの現場には、会話を弾ませ、伝える工夫が数多く隠れている。ラジオDJ歴25年の秀島さんが、プロの話すコツ、聴くコツを親しみやすく解き明かした「会話のレシピ集」。秀島さんの番組を聴いているような33の温かいアドバイスは、声を通して心の距離を縮めてくれる。秀島さんに同書にかける思いを聞いた。
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少しハスキーで、ふんわりと心を包み込む声でリスナーを魅了する秀島史香さん(46)。ラジオDJやナレーターとして話し、インタビュアーとしてゲストの話を聴く技術を磨き、経験を積み重ねてきた。本書は、秀島さんが「これだけは伝えたい」と選び抜いた、会話を弾ませる33のコツが綴られている。
アドバイスは、「話し始めの一文は『とにかく短く』」「好意は先出しで伝える」「『間』を怖がらず、言葉をはさまずふんわり笑顔で待つのが正解」と具体的だ。秀島さんの体験や会話例を交えて解説しているので、イメージしやすい。
「私のことかな?と、気になった目次から読んでいただければ。辞書のように使ってもらえると、うれしいです」
執筆中、秀島さんは33のコツを出演する番組などを通して実践し、確認することを繰り返した。ラジオDJとして無意識に身についたコミュニケーション術をわかりやすく言語化するためだった。
秀島さんは執筆しながら、12歳の頃の自分がよみがえったという。父親の仕事の関係から渡米した秀島さんは、まったく英語がわからない環境に放り込まれ、困惑と孤独を感じていた。助けてくれたのはラジオ。ニューヨークのジャズステーションから流れてくる女性DJの声は、異国にいる淋しさを癒やしてくれた。