イラスト:オカヤイヅミ
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 先日、知人から、

「ちょっと困っていることがあって」

 と相談された。彼女には小学生の息子がいるのだが、彼の友だちについての話だった。仮に友だちをQくんとすると、彼女の息子はQくんとは同じクラスではないが、仲よくなった。彼女はフルタイムで働いていて、日中、自分が不在のときに子供たちだけで家にいた場合、何か事故など問題が起こっても責任が取れないので、

「家に連れてくるのだったら、お母さんがいる土日にしてね」

 といってあった。

 それには息子も納得して、友だちは土日に遊びに来るようになったのだが、中学受験を控えて、みんな塾や学校の勉強で忙しくなり、彼女も息子に勉強をする習慣がつくように、あれこれ二人で考えながら、スケジュールを組み立てていた。今は受験をしてもしなくても、塾か習い事をしている子供がほとんどなので、みんなそれぞれ週末も忙しいし、またせっかく家族が揃うので、家族で外出する子供も多くなってきた。それで遊びにくる友だちも減ってきたのだが、そのQくんだけは、決まって毎週土日の昼の十二時前にやってきた。

 これから昼御飯を食べようとしている時間帯なので、

「Qくんも食べる?」

 と聞くと、いつも、

「いいえ、大丈夫です」

 といちおうは断るのだが、彼をほったらかしにして食事をするわけにもいかないので、

「よかったら食べてね」

 と取り分けてあげると、断ったのにもかかわらず、ものすごい勢いでむさぼるように食べるのだという。それが毎回なので、彼女もちょっと変だと思い、いろいろと彼の家について聞き取りをはじめた。

 Qくんの家はシングルマザーで、母親は夜の仕事をしている。

「今、お母さんはどうしてるの」

 と聞いたら、

「寝てる」

 という。昼夜逆転の仕事なので昼間は寝ているらしい。食事については昼食は学校があるときは給食を食べるのでまだいいのだが、

「晩御飯はどうしているの」

 とたずねたら、毎日、お金をもらっていて、それでカップ麺、カップ焼きそばを食べ、金額がちょっと多いときは、回転寿司を食べるのだという。

「一人で?」
「うん」

 小学生の子供が、高学年とはいえ一人で回転寿司店で食事をしているのは、お腹はいっぱいになるかもしれないが、あまりいい状況ではない。彼女が見たところ、Qくんはいつもこざっぱりした服装をしていて、痩せてはいても手足に傷跡などもないので、彼女はその点はほっとしたのだが、彼の食生活を考えると、今後、そのままでいいのかと、母親の立場で心配になってきたというのだ。

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