今年でソロデビュー10周年を迎え、役者に歌にダンスにと、幅広く活躍する中山優馬さん。なかでも役者業は、「僕のアイデンティティー」とまで言い切る。7月には主演舞台「ダディ」への出演が控えている。宗教や同性愛などを題材とした同作では、大きな葛藤を抱える主人公に挑む。「演じる意味はどこにあるのか」──。思索する役者の姿があった。

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──7月から主演舞台「ダディ」が始まります。喜びとプレッシャー、どちらが大きいですか?

 喜びのほうが強いですかね。どうだろうな……、いやなかなかプレッシャーもありますね。自分自身がこの作品を肌感覚でわかっていないというか。キリスト教のなかで育った子たちの感覚って日本人にはなかなか難しいじゃないですか。そういう身近じゃないことを伝えるために、自分はどこまで理解を深めて表現したらいいんだろうっていう距離感が掴めてないんですよね。なので、まずは台本にヒントを探して、って感じですね。

──本作は同性愛などを題材としています。

 なんて言うんですかね。結局は自分にとって何が大切かっていうのが大事であって。同性愛を描くのも、自分の本当に好きなものとか、生き方とか、価値を見つけ出すっていう意味合いが含まれてるんだろうなって思うんですよ。じゃないと僕が演じる必要なんてないので。結局、この作品を海外じゃなくて、日本でやることの意味を見いだしていかないとやる意味ないなって思うんです。表現者として。

──劇中の題材のなかで、興味があるものは?

 絵画ですね。アメリカ人の画家、ジャン=ミシェル・バスキアの絵を部屋に飾ってるアートコレクターに、僕が演じるアーティストのフランクリンが、「バスキアは一部屋に一枚だけ。じゃないと、空間が圧迫されちゃう」と言うシーンがあるんですよ。それでバスキアについて調べて、このセリフがどういう心情から出てくるのかを考えてたりしてます。

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