それにしても、早めに被害に気づいてよかった。今回、対応してくれたアメリカン・エキスプレスにフィッシング詐欺への対策を聞いた。
「昨今、詐欺が増えていますが、当社では不正利用された額をお客さまに請求することはございません」
とは、アメリカン・エキスプレス・インターナショナルでセキュリティーを担当している朝比奈孝弘さん。このような不正行為に対して対策を強化しているという。
「当社の場合、American Express SafeKeyというシステムから発行されるワンタイムパスワードで、本人認証を行い、安全性を高めています。これはオンラインで商品を購入した際、カード番号や有効期限などを入力し、購入ボタンをクリックすると、事前に登録されたスマホやPCのメールアドレスなどに認証コードが届き、それを入力すれば決済が完了するというものです」(朝比奈さん)
これは3Dセキュアといい、インターネット上でクレジットカード決済をより安全に行うため、カード会社が導入を進めているものだ。
詐欺に遭った際、何度もワンタイムパスワードの通知があったのは、詐欺グループが盗んだカード番号で決済しようとしたためだ。
コロナ禍で外出が難しくなったここ2年ほどカードの利用が増え、それに伴いフィッシング詐欺の件数も急激に増えていると、同社の広報の佐藤克哉さんも懸念する。
その言葉を裏付けるように、フィッシング対策協議会に寄せられたフィッシング報告件数は2020年5月が1万4245件だったのに対し、今年5月には8万8132件にのぼっている。
国民生活センターにも同様に相談があり、昨年度は1万2004件の相談があった。
「各年代からの相談がありますが、50代が一番多く、次に60代、そして40代と続いています。ネットショッピングはどの世代も利用していると思われますが、50、60代が多いのは顕著です」(国民生活センターの飯田周作さん)
記者は50代。一番騙されている年代だと思うと、再びショックを受けた。