「受賞にはビックリしましたが、自分がやってきたことは間違いなかったんだと思いました。子どもが美味しく食べられるものは大人も美味しいと思ってくれる。一発屋だと思われないように、さらに必死で頑張りました」(佐々木さん)
ひたむきにラーメンを作り続ける佐々木さんのもとに、静岡の知人から「味に迷っている店主の相談に乗ってほしい」と連絡が来た。それが「はし本」の橋本さんだった。無化調ラーメンの方向性に迷っていた橋本さんに、ラーメンを作るところを見せ、その後もアドバイスを続けているという。
「ラーメンは足し算ではなくて引き算だと教えてくれたのがまさに佐々木さんです。何度も相談に乗ってくれて、行き詰まった時にはアドバイスをしてくださる。とにかく佐々木さんの人柄が素敵で、どれだけ大変でも笑顔で最高のラーメンを作り続ける。自分も見習いたいと思っています」(橋本さん)
佐々木さんも橋本さんを職人として高く評価する。
「いろいろアドバイスはしましたが、自分のラーメンを個性的にしっかりまとめていますね。本当に気持ちのこもった一杯だと思いますよ。カッコいい職人です」(佐々木さん)
「普段使いの店」を目指す橋本さんと、子どものためのラーメンを作り続ける佐々木さん。ラーメンは食べ手とともにあり続けることを改めて教えてくれる心の一杯がそこにはある。(ラーメンライター・井手隊長)
○井手隊長(いでたいちょう)/大学3年生からラーメンの食べ歩きを始めて18年。当時からノートに感想を書きため、現在はブログやSNS、ネット番組で情報を発信。イベントMCやコンテストの審査員、コメンテーターとしてメディアにも出演する。AERAオンラインで「ラーメン名店クロニクル」を連載中。Twitterは@idetaicho
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