『アサヒカメラ』が写真家128人に「よく使うレンズ」「好きなレンズ」「ほしいレンズ」を聞いたところ、挙げられたレンズの合計は約200本。
それらを写真家の撮影分野ごとに集計してみた。愛用レンズの傾向や評判のレンズを見ていこう。
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自然や都市の風景を撮る写真家が使うレンズには、ほかの撮影分野にはない特徴がある。それは中・大判カメラ用レンズが含まれていることだ。
昔は、風景写真といえば大判カメラで撮るのが鉄則であり、「大判でなければ風景写真にあらず」という風潮だった。
竹内敏信さんによれば、大判カメラは機動力は低いし、使えるレンズも限られていたから、どうしてもおとなしい写真になりがちだったという。
昔の中判カメラ用レンズのラインアップも似たり寄ったりだった。そんな旧態依然の状況が徐々に解消され、1990年代になると富士フイルム ベルビアの登場と相まって中判カメラがブームとなっていった。
最近では中判カメラのデジタル化が進んでいる。大型の撮像センサーの画素には余裕があり、それがレンズの描写力を引き出す源となっている。
リコーイメージングのPENTAX 645 Zを使う大山行男さんは単焦点派で、smc PENTAX-D FA645 25ミリメートルF4AL[IF] SDM AWからsmc PENTAX-FA645 150ミリメートルF2.8[IF]まで5本の単焦点レンズを好んで使っている。
一方、白川義員さんはズームレンズ派で、「取り扱いが簡単」なsmc PENTAX-FA645 55-110ミリメートルF5.6を愛用している。
辰野清さんは富士フイルム GFX 50Sを使用。お気に入りのレンズはGF32-64ミリメートルF4 R LM WRで「ラージフォーマットの解像力が素晴らしい。広い風景がフレーミングしやすく、見た目より比較的軽い」という。
大判カメラ用の「古いレンズをたくさん試写してみたい」という鈴木理策さんは、よく使うレンズにゲルツAPOCHROMAT ARTAR 14inch F9を、好きなレンズにフォクトレンダーCollinear II 20センチメートルを挙げてくれた。
ちなみに、カメラが大きいことは、「撮る」という意識を明確にする。