2020年度から大学入学共通テストがスタートする。先行きが見えない改革に不安の声が上がる中で、着実に合格実績を伸ばしている高校がある。キーワードは生徒の自主性を育てる教育だ。AERA 2019年11月4日号では、東京大、京都大、大阪大など難関10国立大への合格者数を調査し、独自にランキング。全国160高校の「合格力」を特集した。ここではその一部を紹介する。
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国立大だけでなく私立大でも合格者数が多い県立浦和。早稲田アカデミー教務本部長の千葉崇博さんは、埼玉県内の動きを注視する。
「埼玉県内の高校は“打倒浦和”という意識が強い。動きが変わったのは、栄東から東大に27人合格し、県内で1位になった16年。人気が上がり、以降、優秀な生徒が栄東を受けるようになった一方で、これまでなら合格していたレベルの子が入れなくなり、大宮や開智に流れた。結果的に埼玉県の高校のレベルが上がったのです」
東大、京大など難関10国立大の合格者総数を調査したランキングを見てほしい。栄東の19年の実績を見ても、国立10大学への合格者数が58人。うち、19人が東大に進んでいる。
同校の田中淳子校長は、理由をこう明かす。
「16年の東大合格者27人中17人は現役生。この年、英数国にベテラン教員を抜擢しました。高2から高3へ上がるときの教科担当も持ち上がりにするなど対策を講じました」
当初は文系志望の生徒が多く、早慶対策が中心だった。だが、10年ほど前から国立志望が増え、5教科7科目のセンター対策に切り替えた。結果、センターを利用する私大も伸びて、19年には東京理科大に185人が合格。全国1位に躍り出た。
「ただ、実際の進学者は10人ほど。国公立や医学部に進む生徒が多い」(田中校長)
栄東の台頭に浦和も動き始める。塾主催の高校説明会にも参加し、中学生に学校の魅力をPRするようになった。同校の大山貞雄教頭は言う。
「やばいな、と感じたのは10年くらい前から。東京の進学校や県内の私立に生徒が流れていくようになりました」