秋の臨時国会が12月10日、閉幕した。焦点だった旧統一教会問題をめぐる救済新法は成立したものの、世論の評価はいまいち。相次ぐ閣僚スキャンダルも来年に持ち越されそうな情勢だ。満身創痍の岸田文雄政権、いつまでもつのか──!?
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「総理大臣は実に孤独なものです……ちょっとつらいときもあります」
岸田文雄首相は11月21日夜、母校・早稲田大学の大隈庭園内にある「完之荘」で森喜朗元首相や自民党の青木幹雄元参院議員会長らと会食し、こう心情を吐露してみせたという。森、青木両氏とも早大雄弁会出身の実力者。今後の政権運営などについて意見交換したと思われる。大物たちに悩みを打ち明けた岸田首相の真意は何だったのか。政府関係者はこう語る。
「岸田首相は、財務省出身で最側近の木原誠二官房副長官や、官邸官僚たちの進言をほぼ言いなりで聞いて政権運営をしてきた。それに対し、自民党サイドからは『事前に一切説明がない』と猛反発を食らい、政府・与党の連携欠落が明らかになった。問題閣僚の更迭判断の遅れや身体検査のずさんさなども影響し、官邸が機能不全に陥った」
「政高党低」と言われた時代から一転、いまや官邸は党を抑えられなくなっているという。物価高騰対策の補正予算案では、萩生田光一政調会長に押し込まれ、当初政府が想定していた25兆円規模から4兆円超の上積みを余儀なくされた。注目された2023年度から5年間の防衛費についても、財務省は当初30兆円台前半を主張していたが、増額を求める防衛族をバックにした防衛省に押し切られ、総額約43兆円の大盤振る舞いに。岸田首相は1兆円強の増税を表明せざるを得なくなった。
閣僚の辞任ドミノも止まらない。岸田派の葉梨康弘前法相、寺田稔前総務相に続き、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との深い接点が明らかになった秋葉賢也復興相も危うい状態だ。「岸田首相は非主流派の菅義偉前首相や二階俊博元幹事長と面会したり、麻生太郎副総裁、茂木敏充幹事長と3人で何度も会ったりするようになった。ある程度、党側に軸足を移さないといけないと思ったようだ」(自民党関係者)