
■新閣僚にも醜聞 野党の鼻息荒く
だが、肝心の支持率は低下する一方だ。共同通信社が11月26、27日に実施した世論調査によると、岸田内閣の支持率は10月末の前回調査から4.5ポイント減の33.1%で、過去最低を更新。不支持は51.6%で初めて5割を超えた。

中でも、旧統一教会問題を巡る被害者救済新法について、マインドコントロール(洗脳)された人の寄付の取り消し規定が必要との回答が75.8%に上ったことは重要だ。新法に洗脳下の寄付規制を明記しない政府方針は、世論とズレていることになる。「この数字に官邸は焦ったが、『洗脳下』は定義付けが難しい。そこで、寄付を勧誘する際、十分に配慮する規定を修正法案に盛り込むなど、内閣提出法案としては異例の、野党案を取り入れた法案となった」(与党国対関係者)という。
岸田政権の現状について、政治ジャーナリストの野上忠興氏は「閣僚が次々とドミノ辞任した第1次安倍政権と酷似している。こういう展開になると、内閣自体がもう長くない」と断言する一方で、こうも語る。
「岸田首相は案外しぶといから、支持率が30%あれば来年5月の広島サミットまではもつのではないか。状況的には20%台前半に落ちていてもおかしくないが、日本人はお人よしだから信任してしまう。ただ、岸田首相には危機感がない。自分の長男を首相秘書官にして、後ろがついていくはずがない。今、ほとんどの霞が関幹部の心は岸田首相から離れている」
政権の危機はまだ続く。寺田氏の後任に据えた松本剛明総務相は就任早々、資金管理団体が会場収容人数を超えるパーティー券を販売し、政治資金規正法違反の疑いがあると「しんぶん赤旗」にスクープされてしまった。
松本氏は旧民主党から自民党に転じた転向組で、麻生派(志公会)所属。「適材適所」(岸田首相)と言うものの、あからさまな麻生人事だ。だが、旧民主の流れをくむ立憲民主党にとって松本氏はいわば裏切り者。立民にとっては“制裁”を加える絶好の機会とあって、批判の手は緩めないだろう。立民幹部は「元々、プライドが高く、自民党内でも浮いた存在と聞く。徹底的に追及し辞任に追い込む」と鼻息は荒い。