「早い子では小3、小4くらいから来る子がいたり、逆に中学生になってから来る子がいたりして、今までより個人のバラつきが広がっているように感じます。『生理バレ』『(ナプキンの)交換バレ』という言葉を聞くことがあります。早く生理が来た子は女子同士でも知られたくないようなんです。学校で生理バレしないよう、何枚も重ね付けして音を立てないようにそっと剥がして使用する子や、トイレすら我慢する子もいるようです」
■かぶれと膀胱炎の心配
大手生理ナプキンメーカーは、肌トラブルを避けるため2~3時間ごとの交換を推奨している。登校から下校まで小学校高学年であればおよそ9時間。その間トイレに行かないことになる。
福岡県の女性(43)は小学6年の娘が生理中でも学校のトイレへ行かないことに気をもむ。
「いつか漏れるんじゃないかと心配で。でもそもそも生理になる前から学校のトイレが不衛生で嫌いみたいで、用を足すことすらしないんです」
同様に中学1年の娘の「トイレ嫌い」が生理中のかぶれにつながっていると心配するのは、静岡県の女性(42)だ。
「学校のトイレはいやと言って、夜用の大きいナプキンを着けて登校して、帰ってくるまで替えません。そのせいでかぶれやすい気がするんです」
「サッコ先生」の愛称で性教育の普及活動に力を入れる埼玉医科大学助教で産婦人科医の高橋幸子さんは、トイレに行かない子どもたちのかぶれと膀胱炎(ぼうこうえん)を懸念する。
「夜用ナプキンであれば長時間着けていることに問題はなく、それが原因で病気になることは考えにくいですが、湿度が高まるので肌がかぶれる可能性は高くなります。学校にいる間ずっと用を足さないとなると、膀胱炎も心配です。膀胱炎はトイレに行きたがらない若い女性に多いんです。トイレに行きたくないあまり、水分をとらない。そうした傾向が低年齢化していると言えるかもしれません」
こうした実態を受け、ショーツ自体が液体を吸水できる「吸水型サニタリーショーツ」が注目を集めている。最近ではユニクロやしまむらなど、大手メーカーも販売を始めた。国内における草分け的存在であるのが、前出のショーツブランド「Be-A<ベア>」だ。多くの親子の要望に応え、昨年ジュニアサイズを発売した。開発も担当する武市さんは言う。
「販売開始後、『学校生活での不安が解消されました』『音によるトイレでの交換バレがなくなりました』という声が多く寄せられました。小中学生の悩みの深刻さが伝わってきます」
(ライター・大楽眞衣子)
※AERA 2022年12月19日号より抜粋