社会全体が生理をオープンに語る風潮になってきている一方で、「学校では知られたくない」と過剰に隠す小中学生も少なくない。“生理バレ”を気にするあまり、トイレに行きたがらない児童生徒もいる。AERA2022年12月19日号の記事を紹介する。
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小学5年の女子児童が、休み時間に保健室へ駆け込んできた。
「さっきトイレに行ったら、同じクラスの女子から、『ナプキンを替える音がしたから、あの子生理だよ』ってこそこそ言われました」
児童の悲しそうな表情に、養護教諭の女性(36)は肩を落とした。
「初経(初潮)指導は、わりとしっかりやってきたつもりでした。人に言いふらすことではないこと、人の事情を詮索しないこと、女の子同士助け合って守り合おうってみんなで誓い合っていたはずなのに。またこういうことが起きてしまってショックでした。このあと女の子たちを集めて改めて話をしました」
女性は東海地方の公立小学校で10年以上、「保健室の先生」として働く。以前と比べて生理(月経)をオープンに語れる風潮になってきているとは感じるが、相変わらず「ばらされる」「うわさされる」の事案は起こる。特に小学4、5年で周囲より早く初潮を迎えた児童が被害に遭いやすい傾向にあるという。
■音立てないようそっと
初潮を迎える時期は9~15歳頃と個人差は大きい。現代の平均初潮年齢は12歳ごろで、13歳台だった約60年前と比べると低年齢化しているが、この30年間に大きな変化はないとされる。しかし学校現場は異変を感じている。
前出の養護教諭は、女子児童への生理の指導を5年生から4年生に変更した。
「以前は5年生で初経指導をすることが定番でしたが、4年生後半で迎える子が多くなり、最近4年生に変更しました」
公立小で高学年を担任する20代後半の女性教諭も、児童の変化に驚く。
「私たちの世代より明らかに初潮が低年齢化していると感じます。早い子は小学3年生でなっています。小学生でも重い生理でつらそうにしている子が結構いて、すごく気になります。教室で見ていてかわいそうで。生理痛の悩みも低年齢化が進んでいるように感じます」
小中学生の生理事情に詳しいサニタリーショーツブランド「Be-A<ベア>」(東京都渋谷区)の広報、武市奈々子さんは、初潮年齢の個人差が大きくなっていると実感する。このことも“生理バレ”への恐怖心を増幅させているという。