国内外の人々を惹きつけてやまない京都。その四季折々の魅力を、京都在住の人気イラストレーター・ナカムラユキさんに、古都のエスプリをまとったプティ・タ・プティのテキスタイルを織り交ぜながら1年を通してナビゲートいただきます。愛らしくも奥深い京こものやおやつをおともに、その時期ならではの美景を愛でる。そんなとっておきの京都暮らし気分をお楽しみください。
【人気のパン店「ナカガワ小麦店」の「トースト・モンターニュ」はこちら】
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■パンの消費量日本1位 パンの街・京都
朝目覚めると、窓を思いきり開け放って新鮮な空気をいっぱい吸い込みたくなる、心地よい季節がやってきました。思わず早起きしたくなるほど、朝が楽しみなものと言えば……京都人にとって、それは「パン」。老若男女問わず京都人はパンが大好きで、京都はパンの消費量日本一なのです。
パンの消費量が多い理由は諸説あるようですが、老舗パン店のご主人によると「昔から京都は、茶道があり、和菓子が発展しましたやろ。そやさかい、餡(あん)が手に入りやすかったんですわ。それでアンパンが庶民に広まり人気が出て、パン食が一般的になったんですわ」とのこと。さて、京都のパンにはどんな魅力が詰まっているのでしょうか? 今回は、京都人が足繁く通う人気のパン店と、一生使えるパン小物をご紹介します。
■毎日味わいたい 新鮮な小麦、風味豊かなもちもち食パン
下鴨神社の森から流れる清らかな空気を帯びるように佇むパン店「ナカガワ小麦店」。木の扉を開けると、ガラスケースの中には、シンプルで凛とした姿のパンが整然と並んでいます。一番人気は「トースト・モンターニュ」。有機強力粉100%の山食パンは、加水が多く、もちもちした食感が特徴です。まず、焼き立てを手でちぎって頬張り、口いっぱいにもちもちを感じながら食べます。パンの表面が落ち着いたら、スライスしてラップに包み、冷凍庫へ。翌朝、軽くトーストすれば、かりっとふわり、そしてもちもちが変わらず味わえます。
素朴で滋味深いロールパン「コンプレロール」などに使われている有機全粒粉は、挽き立ての香ばしさと小麦が持つ本来の味を届けたいという店主・中川恵介さんの思いから、オーストリア製の石臼で毎朝挽くところからスタートしています。手間を惜しまず、材料にこだわり丁寧に作られたパンは、“毎日食べても飽きがこない、毎朝食べたくなるパン”となり、人々の心に響いているのだと思います。