もっとも身近な人々は家族。しかし、あらためて作品として撮ろうとすると、近いがゆえに、なかなか思うように実現しないなんてことも。
「家族で撮るのはどうも恥ずかしい、何か理由がないと、というのはわかります。とにかく一年に一回撮る、理想はそれが習慣になればいいですね。その言い訳に、僕は年賀状をお勧めします。
年賀状は、長いスパンで追っかけられるのがいいですね。それが唯一できるのが家族で、面白い作品になりうるんです。家族写真は肖像写真の原点であり究極ですね。かけがえのない一枚を撮影していると思うと、家族写真の面白さを実感してもらえると思います」
家族は気兼ねなくむちゃを言える唯一のメンバー、と浅田さんは考える。だからこそ粘りに粘る微調整で作品を詰めていくことができるのだ。
「撮影後はよくご飯を食べに行きます。たいてい回転ずしかチェーンのラーメン屋さん(笑)。ふだん集まるということがあんまりないので、そんな気軽な食事でも、すごく楽しくて、大切な時間なんですよね」
○あさだ・まさし/1979年三重県生まれ。日本写真映像専門学校在学時に家族写真を撮り始める。スタジオ勤務を経て独立。木村伊兵衛写真賞を受賞した『浅田家』が映画化され、2020年に公開される。
■「Asada-Studio 浅田撮影局」
会場:彫刻の森美術館開館50周年記念イベント「ちょうこくの森アートライヴ2019」本館ギャラリーで8月3日~9月23日開催
■「浅田政志写真展(仮称)」
金津創作の森 アートコア(福井県あわら市)で2020年1月25日~3月8日開催
写真=浅田政志
構成・文=池谷修一(編集部)
※アサヒカメラ2019年8月号より抜粋