ムキになって調べた理由が、もう一つある。

「先生もまた、ムキになって僕のような若造に食ってかかったからです。正面から、しかも真剣にかかってこられたら、こちらだって負けてはいられないと思いました」

 そして一方の佐藤教授は、こう振り返るのだ。

「デマを信じる彼に私は本気で怒っていた。そして彼も本気で立ち向かってきた。付け加えるのであれば、彼はけっして笑わなかった。嘲笑して議論をすり替えるようなことをしなかった」

 両者の間で生まれたスパークは、真実をめぐる戦いだった。本来必要とされるのは、そうした議論ではないのか。

「笑っている暇があれば真実を探し出せばいい。あるいは既存のアプローチとは違う抵抗の手段を見つければいい。真剣に闘っている人を、生きている人を、馬鹿にすることなど許されないでしょう」(具志堅さん)

 感情のぶつかり合いは、ときに人を変える。

 必要なのは捨て台詞としての「論破」ではない。戦争の記憶を引きずった人々を笑うことでもない。

 ネット情報から離れて私たちが考えるべきは、圧倒的な基地負担を沖縄だけに押し付けてよいのか、ということだ。真実はそこからあぶりだされる。(以下、次号)

※ひろゆき氏が笑いを浮かべた自らの写真とともに「座り込み抗議が誰も居なかったので、0日にした方がよくない?」とツイッターに投稿し、物議を醸した一連の出来事

週刊朝日  2022年12月23日号

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