辺野古の座り込みを示す看板
辺野古の座り込みを示す看板

「観光で沖縄を訪ねた人だと思います。座り込みを示す看板の前に立ってVサインで記念撮影するだけなんですけどね。なにか馬鹿にされているような気がして嫌な気持ちになります」

 座り込みに参加している人々に共通するのは、これ以上沖縄に基地をつくらないでほしいという思いだ。その思いを、基地を押し付けている側の「本土」の人間が、どうして笑うことができるのか。座り込みが示す問いかけに応じることもなく、人々の怒りを「ネタ」として消費するだけの人間は、自らの加害性にとことん無自覚だ。

「反論されるよりも笑われるほうがつらい。尊厳すらも打ち砕かれる」

 同じく座り込みに参加する70代の女性もそう漏らして表情を曇らせた。

 見下した笑いに抵抗するのは難しい。真剣に怒れば怒るほどに茶化しの対象となってしまう。まさに「ネタにマジレス」。さらなる笑いを誘うことにもなる。

「結局、嘲笑の背景にあるのは、沖縄に対する差別と偏見。しかもそこにはデマが加えられる」

 顔をしかめて話すのは、米軍基地問題に詳しい沖縄国際大学の佐藤学教授(政治学)だ。

「ひろゆき氏もそうだが、嘲笑するだけでなく、自分への反対論者に対抗すべく、米軍普天間基地に関するデマを平気で垂れ流す。これまで幾度も流布された手垢にまみれたデマですが、それでも影響力のあるひろゆき氏などの言葉を信じ込んでしまう学生は多い」

■怪しげな情報を鵜呑みにする

 10月7日配信されたYouTube動画で、ひろゆき氏は普天間基地についてこう発言した。

「普天間の基地の周りに住宅をつくっちゃったんですよね。普天間の周りってもともと何もなかったところなんですけど、基地の需要があったりした結果、住宅街ができてしまった」

 結論から述べたい。まったくのデマである。

 辺野古新基地建設の反対運動を笑う者たちは、まるでそうすることが作法でもあるかのように、市街地のど真ん中にある“世界一危険な飛行場”普天間基地の出自に言及し、基地問題は沖縄県民の自業自得だと突き放す。

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