あかつきの会のスンバラしい茶色い料理の数々。都会人あっという間に平らげる(photo 本人提供)
あかつきの会のスンバラしい茶色い料理の数々。都会人あっという間に平らげる(photo 本人提供)

 一番印象に残ったのは、その元気さ、明るさ、揺るぎなさであった。洒落た服を着た賢げな都会人に囲まれても、白い割烹着姿のおばちゃんたちは誰より堂々として、誰より可愛く、誰より笑いを取っていた。そのスター性に圧倒され、サイン欲しさに『津軽伝承料理』をまた買ってしまった。どデカい字で「(ハート)ふるさとの味と母の味は心の宝です」と書いてくださった。

 その伸びやかな字に、ストンと心に落ちるものがあった。苦労して生き延びてきたご先祖と繋がっていること。それが楽しく嬉しいことなのだ。承認欲求の苦しみなどない、ただ生きているだけで幸せという世界をおばちゃんたちは生きているのである。

稲垣えみ子(いながき・えみこ)/1965年生まれ。元朝日新聞記者。超節電生活。近著2冊『アフロえみ子の四季の食卓』(マガジンハウス)、『人生はどこでもドア リヨンの14日間』(東洋経済新報社)を刊行

AERA 2022年12月19日号

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