熱戦が繰り広げられたサッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会が閉幕した。優勝候補のドイツとスペインに勝利し、世界を驚かせたサムライブルーだが、悲願のベスト8には届かなかった。男女の元日本代表、本並健治・丸山桂里奈夫妻に、大会を振り返ってもらった。2022年12月26日号の記事を紹介する。
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丸山桂里奈:今回の日本代表は本当にいいチームでしたね。1次リーグ初戦のドイツ戦、第3戦のスペイン戦ともに途中出場した堂安律(りつ)選手(24)がゴールを決めた時に、チーム全体のまとまりを感じました。スペイン戦では逆転してから試合終了まで時間がありましたが、点を入れられる気はしませんでした。
私は2011年、なでしこジャパン(女子日本代表)の一員として女子W杯で優勝しています。あの時も全く負ける気がしなかったんです。先制点を入れられても「取り返そう」ではなく「取り返せる」と思えた。今回の日本代表の空気感が当時の私たちと重なって、スルスルと勝ち上がっていけるのではないかと。ツイッターに「サムライブルー、優勝する気がする」と書いたのはそんな理由からです。
結果的には決勝トーナメント1回戦でクロアチアに負けましたが、世界はとても近かった。ドイツだけではなくスペインにも勝ったことで、ジャイアントキリング(番狂わせ)ではないことを証明できたと思います。
■もう一皮むけなければ
本並健治:ただ、鬼門のベスト8は乗り越えられませんでした。第2戦のコスタリカのような格下もしくは同等レベルのところに負けたのはなぜなのか。クロアチア戦のように五分五分の攻め合いになった時に、なぜ勝てないのか。8強に入るためには、もう一皮むけなければならないということでしょう。僕の現役時代と比べ、カウンターや切り替えが組織化され、そう簡単には崩れなくなっていますが、個々のスキルがまだまだ足りないことを実感しました。