ドイツ戦で勝ち越しゴールを決めた浅野拓磨(photo アフロ)

 あと一歩足りなかったのは何か。スポーツをきわめる際に「心技体」が必要とよく言いますが、僕は「心技体細」だと思います。もう一歩細かいところまできわめること。相手がサイドからクロスを上げてきそうなとき、もう一歩前に出てプレッシャーをかける。勝っている状況のゴールキックでは1秒でも遅らせて時間を稼ぐ。サッカーは、ある意味「ずるさ」にも通じる、こういう細かいところの積み重ねなんです。技術で日本の選手は、ブラジルのネイマール選手(30)やアルゼンチンのメッシ選手(35)のレベルまでもう少しのところまできている。あとは日本人がもともと強みとして持つ感性の細かさをさらに磨くことだと思います。

 強国に勝った瞬間、日本の選手がピッチになだれ込みますよね。ドイツやスペインならやらないことで、つまりは日本がまだサッカー小国である証しです。でも、一体感の象徴でもあるあの姿はすばらしいと思います。日本が強国になってもなだれ込みをやってほしいですね。次のW杯の目標ですか? 僕はベスト8とわざわざ低く掲げる理由がよくわからない。わかりやすく「優勝」でいきましょう!

(編集部・小長光哲郎)

AERA 2022年12月26日号

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