――結局誰のモノマネだったんですか?
平泉成さんです!「おぉ、元気かぁ。(カンヌから)帰ってきたかぁ」って(笑)。めちゃくちゃ似てました。ドナルドのモノマネとかもうまいし、芸達者というか。
――今回、映画初ヒロインで、初カンヌ。いかがでしたか?
映画祭自体も初めてで、ずっと実感がありませんでした。帰国して、写真を見返してやっと「行ってきたんだなぁ」と。でも、まだ夢見心地な感じです。
日にちもしっかり覚えているんですけど、出品が分かったのが4月12日でした。東出さんはスタッフさんたちと撮影前から「カンヌ行けたらいいな」って話してたみたいなんですけど、それを全然知らなくて! 私は編集段階のときに初めて「カンヌ行けたらいいね」って聞いたんです。
そこから「カンヌ、もしかしたら行けるのかな?」ってずっとドキドキしていました。発表の日までずっとマネージャーさんに連絡していました。「まだ?まだ?」って。気になりすぎて、夜も2時間おきくらいに起きていたんです。発表の日もちょうど5時くらいに目が覚めて、そのときに連絡を受けました。もう、鳥肌がぶわぁって。すぐに家族と『寝ても覚めても』のグループラインとプロデューサーさんに連絡したのに、朝早すぎて誰からも返信がこなかったです(笑)。
――レッドカーペットはどうでしたか? 緊張しました?
それが、意外と緊張はしなくて。でも、ヒールをドレスに引っかけてしまって、階段のところで動けなくなってしまったんです。隣にいた濱口監督と東出さんが助けてくれました。2人とも「唐ちゃんらしくていいんじゃない?」って言ってくれて。地元の友達からも「さすがえりか」、「海外行っても変わらないね」って連絡がありました(笑)。
――唐田さん演じる朝子は普段穏やかなのに、時々すごく情熱的です。演じていて難しさはありましたか?
難しいと思うことは不思議と一つもなかったんです。撮影が始まってすぐ、監督から「何も考えなくていいから、ただ周りの人に頼ってください」って声をかけてもらいました。「周りの方の演技を見ること。見ることができないときは、ちゃんと聞くこと」という監督の言葉を意識していたら、自然と難しいなと思うことがなかったです。
演技に苦手意識があるということも、最初に隠さず伝えていました。それをふまえて、みんなが包み込んでくれたんです。撮影に入るときには自然と不安がなくなっていて、それこそ「やっと撮影だ!」という感じでした。