――朝子とリンクするところはありますか?

 初めて脚本を読んだときから、自分のこととして読めていました。朝子と私は別人なんですけど、すごく似ているなと感じています。朝子の直感で動いてしまうところや嘘がないところ、友達といるときの佇まいが自分っぽいなって。

――朝子が恋をする麦と亮平を演じるのは東出さんです。一つの作品で同じ人が演じる、違う相手に恋をするってなかなかないですよね。

 どっちも東出さんなのに、麦と亮平は全然違うんです。麦といるときの私は不安でいっぱい。でも、亮平のときは安心感があって、頼ってしまう。そう感じさせてくれた東出さんって本当にすごいです。

――カメラが回っていないときもそうなんですか?

 東出さんは東出さんなんですけど、麦のときはちょっと怖かったかも。人のことをじっと観察するようなときがありました。一緒のシーンを撮っていた伊藤沙莉と「東出さんってめっちゃ人のこと見るよね?」、「そのときに目を合わせると、ちょっと怖くない?」とか話してました(笑)。見られていることは気づいているけど、それに目を合わせられないというか。そういう危なさ、怖さはありましたね。

Kosuke Koyama / Asahi Pub
Kosuke Koyama / Asahi Pub

――麦と亮平、現実にいたとしたらどっちと付き合いたい?

 絶対亮平です!麦の危なっかしさ、ミステリアスな感じに惹かれちゃうのもわかりますけど、引っかかったらダメだなって。危ない(笑)。

――朝子はずっと麦の面影を求めていましたが、唐田さんにとって忘れられない人や思い出はありますか?

 中学校のときにすごく仲良くしていただいていた先生がいて、卒業しても私の親友2人と先生2人の5人でご飯によく行っていたんです。すごく仲が良かったんですけど、『寝ても覚めても』の撮影中に一人の先生が亡くなってしまいました。まだちゃんと挨拶に行けていなくて、お葬式にも出られませんでした。年上なのに、一緒の立場になっていつも笑わせてくれるような先生でした。「女優紹介してよ」とかふざけて言うんですけど、すごく応援してくれていました。だから、映画を観てほしかったなというのもありますね。でも、ずっと見守ってくれている感じというか、近くにいてくれているような気がしています。


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