学生服メーカーの研究員として高校生にインタビューを続けてきた著者が、制服をめぐる学校と生徒の暗闘や学生服業界の裏話を綴る。

 なぜ生徒は制服を着崩すのか?ということについて真摯に探究する著者の姿勢がいい。着崩しを頭ごなしに否定せず生徒の考えをくみ取ろうとする柔軟さによって、見えてくる問題がある。それは、服装とそのマナーについて体系立てて教わる機会がないということだ。「全体像がわからないなかで、先生からは次々にダメ出しがあり、だけれどもなぜダメなのか先生自身も理路整然と説得力ある説明ができないので、釈然としない生徒はイラつくばかりです」と著者は校則における構造的な問題を鋭く指摘する。

 制服がテーマだが、ひろく学校教育について考えるための良書である。

週刊朝日  2018年1月26日号