――再現してみて、どうでしたか。

 ご本人も鏡の前で「うわー、この色久しぶり!」って(笑)。「こうだったよね」って話しながらアイシャドーを塗り終えた瞬間、彼女がティーン・エイジャーの顔になったんです。「メイクってすごいね」って二人で話しました。ああ、久しぶりにこの顔に会ったって、奈美恵ちゃんも懐かしく思っていたと思います。

次に再現されるのは2000年。前年に始まった「iモード」が爆発的にヒットし、折りたたみ式の携帯電話も登場。ストラップをつけたり、本体にデコレーションしたり、カスタマイズされた携帯電話を持つ人たちが街に溢れたのはこのころだ。安室さんが九州・沖縄サミットのイメージソング「NEVER END」をリリースしたのも00年。翌年には小室哲哉プロデュースを離れ「Say the word」を発表、03年にはZEEBRAやVERBALらと「SUITE CHIC」としてオリジナルアルバムをリリースした(写真:NTTドコモ提供)
次に再現されるのは2000年。前年に始まった「iモード」が爆発的にヒットし、折りたたみ式の携帯電話も登場。ストラップをつけたり、本体にデコレーションしたり、カスタマイズされた携帯電話を持つ人たちが街に溢れたのはこのころだ。安室さんが九州・沖縄サミットのイメージソング「NEVER END」をリリースしたのも00年。翌年には小室哲哉プロデュースを離れ「Say the word」を発表、03年にはZEEBRAやVERBALらと「SUITE CHIC」としてオリジナルアルバムをリリースした(写真:NTTドコモ提供)

――2000年はまた雰囲気が変わりました。「NEVER END」が九州・沖縄サミットのイメージソングになったのがこの年です。

 ちょうどこの頃から、小室哲哉さんのプロデュースを離れ、ご自身でプロデュースを始めたころでした。バラードが続いた後、久しぶりにアップテンポな「Say the word」という曲で、ツインテールはご本人のアイデアです。雑誌の撮影などでやっていたので、お気に入りのアレンジだったんだと思います。このツインテールもブームになりましたね。

 00年のメイクは目元にブラウン系のグラデーション。しっかり細めに描いていた眉毛は、自然な感じになりました。メイクは全体的にクールでかっこいい感じから、柔らかく可愛い方向に幅が広がっていった時代だと思います。

 こうやって抜き出してみるとガラッと変わっているように見えますが、「さあ、今日から新しい方向で」と変えていたわけではありません。ヘアメイクは日々のことですし、やってきたことがすべてつながって、自然に変わっていく感じです。ジャケット撮影の間に雑誌やCMの撮影なども挟まっていくので、時代の空気感とか流行を吸い込みながら変わってきたんだなと、今回振り返ってみて改めて感じます。

2007年にアルバム「PLAY」をリリースした安室さんは、翌年、ベストアルバム「BEST FICTION」をリリースし、そのアリーナツアーでは50万人を動員。2010年を再現したのがこのビジュアル。手にするのはスマートフォンだ。この年にはドコモの「Xi」がサービス開始した(写真:NTTドコモ提供)
2007年にアルバム「PLAY」をリリースした安室さんは、翌年、ベストアルバム「BEST FICTION」をリリースし、そのアリーナツアーでは50万人を動員。2010年を再現したのがこのビジュアル。手にするのはスマートフォンだ。この年にはドコモの「Xi」がサービス開始した(写真:NTTドコモ提供)

――2010年は黒い衣装で、力強い雰囲気が出ています。

 このときは奈美恵ちゃんがやりたいことを思いっきりやっていて、女性アーティストとして一つの王国を築いたような印象を受けていた時期でした。"安室奈美恵"ってこんな感じ!という方向に、突き進んでいるような。髪はかき上げて雰囲気を醸し出すというよりは、前へ走っていくようなイメージです。どう動いても髪が本人の動きを邪魔しない。強さや疾走感を大事にしていました。

 アイシャドーはトープ(灰色がかった茶色)っぽい、グレーブラウンやチャコール系の色をよく使っていました。眉は自然な感じに整えていることが多いですね。

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2人目が生まれてライブを回れない… 安室さんがかけた言葉は