――セリフがないところにも感情が入り込んでいますもんね。最近はスマホで見る前提で撮っているという話も聞きます。
引き画(え)とか、そんなに使わないですよね。スマホだと登場人物がちっちゃくなるから、寄りが多くなる。あと、テロップもでかくなっちゃう。本当はさらっと出したいところだけど、読めないから結局ドーンと出す。
――そういう変化にはやっぱり複雑な思いがあったりするんでしょうか。
でも、僕もよくスマホで見てるから、ちょろっと出しているやつを見たら「だせぇなこいつ」とか思っちゃう。まだ割り切れてないな、って。「10年後」みたいなテロップも今はドカーンって出すのがトレンドというか、常識になってきた。前はなるべくちっちゃく、さらっと見せる。でも今はそういうんじゃないですよね。みんなが読めて、気づいてくれないとしょうがない。画面いっぱいに「10年後!」って出てくるからね。
○劇団ひとり
げきだん・ひとり/1977年生まれ。芸人。監督・脚本を務めたNetflix映画「浅草キッド」がアジアン・アカデミー・クリエイティブ・アワードで最優秀作品賞を受賞。近著に『浅草ルンタッタ』
(構成/編集部・福井しほ)
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