■大型のライトも大事なポイント

 安全性に関しても、リン酸鉄のバッテリーのほうが優れているとEcoFlow営業担当者は指摘する。リン酸鉄のものは断熱素材が使用されており、「まず燃えることがない」と話す。

 温度といった使用環境もあなどれない。Jackeryのホームページを見ると、同社のポータブル電源の動作温度はマイナス10~40度の範囲で、リチウムイオン電池が劣化しにくい使用推奨温度が一般的に16~25度としている。

 推奨温度から外れると、バッテリーに負荷がかかりやすいという。たとえば、炎天下の車内にポータブル電源を放置すると、バッテリー温度が40度を超える恐れがあるので避けるようにするほか、マイナス10度以下の寒冷地では、なるべく暖かい場所で使用することを推奨している。

 一方、アンカーの植田さんは、ポータブル電源には「数千個の部品が使われている」と指摘する。バッテリー寿命が3千回くらいになると、「バッテリーの寿命よりも、それ以外の部品の故障で使えなくなることが多い」という。

 このほか、防災用に使うポータブル電源には「大型のライトがついていることも大事なポイント」とアンカーの植田さんは話す。「停電時にはポータブル電源にライトをつなぐのが大変」であり、ポータブル電源そのもので、十分な明かりを確保できると便利という。

 ポータブル電源は、各社がさまざまな製品を出しており、特徴もいろいろだ。実際に手に持って動かしてみよう。持ちやすさ、動かしやすさは確認しておきたい。

 さらに、充電に必要な時間についても、大幅に短縮した製品が出てきており、製品を比較しながら、値段とも相談し、自分に合うものを選ぼう。

 アウトドアのレジャーをより楽しく、防災時の非常用としても、ポータブル電源を検討してみるのもいいかもしれない。(本誌・浅井秀樹)

週刊朝日  2023年5月5-12日合併号