福武哲彦
福武哲彦

■起業にも向いた際立つ粘り強さ

「クセがすごい」「~んじゃ」のツッコミで人気のお笑いコンビ「千鳥」も先進性を発揮して今の地位を築いた。

「周りは関西弁がほとんどの中、自然に話せる岡山弁での漫才を決断した。当初は先進的すぎて芽が出るまで時間を要しましたが、今やテレビで見ない日はないほどです」(昼間さん)

「突破力の強さ」も岡山県人の魅力。大都市に負けまいと、困難をはねのけようとする気質が育まれてきたという。プロ野球の投手、監督として活躍した星野仙一はその典型例だ。球界の盟主たる巨人を相手に激しい気性で挑みかかった闘将は、中日阪神楽天と低迷していた球団の監督を引き受け優勝している。

 一方、マイペースさで突破力を見せつけたのが2019年に全英女子オープンでメジャー初優勝を果たしたゴルフの渋野日向子だ。

「ラウンド中に周囲の目を気にすることなくお菓子を食べるなど、いい意味で空気を読まない。この極端なまでのマイペースさが突破力の源になっていると思います」(同)

「粘り強く、あきらめない」のも特徴だ。個性的すぎるがゆえに評価されない、認められないことが多かった岡山県人が会得した姿勢だという。

「浄土宗を開いた法然が典型的です。それまで権力者が独占していた仏教を広く布教し、弾圧にも負けず歩みを進めた。臨済宗の開祖である栄西など、岡山には優れた宗教家がたくさんいます」(同)

 福武書店(現ベネッセコーポレーション)の創業者、福武哲彦も粘り強かった。

「出版社を設立するも数年で倒産。家財道具などを売って借金の返済に充てました。その後、現在につながる通信添削事業を成功させましたが、これは5回目の挑戦でした。何度失敗してもあきらめない。その粘り強さは典型的な岡山県人の気質です」(同)

 岡山県出身の著名人は挙げればきりがない。表立って活躍が目立つようになってきたのは、多様性が叫ばれ個性が重んじられる時代が来ているからでもあるだろう。“クセがすごい”個性的な岡山県人たちの勢いは、まだまだ衰えそうにない。(本誌・秦正理)

週刊朝日  2023年5月5-12日合併号

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