岡山の勢いが止まらない。近年、芸能界にスポーツ界にと、岡山出身者の活躍が目立つ。秘密はどこにあるのか。もう“桃太郎の県”とは言わせない。その県民性を探ってみよう。
【写真】駅伝で17人抜きの驚異的な走りで一躍注目の人となった女子選手はこちら
* * *
岡山県と聞いて、何を思い浮かべるだろうか。吉備津神社に伝わる神話を由来とする「桃太郎」か、全国シェア9割以上を誇る「マスカット」か、中国地方と四国地方をつなぐ「瀬戸大橋」も全国的に有名だが、はたまた日本三名園の一つ「後楽園」か……。
そうした一般的イメージを覆しそうなほどに今、岡山県の人々が大活躍している。“岡山旋風”が巻き起こっているのだ。
昨年から今年にかけての怒濤の活躍ぶりはすごい。日本一の漫才師を決めるM-1グランプリで優勝したお笑いコンビ「ウエストランド」の河本太、井口浩之はともに岡山県津山市出身。2年連続での出場となったNHK紅白歌合戦で、独特な演出で話題をさらった藤井風は里庄町出身だ。
スポーツ界でも岡山出身者たちが大活躍した。全国女子駅伝でスーパー中学生のドルーリー朱瑛里が17人抜きの快走を見せれば、オリックスの山本由伸はプロ野球史上初めて2年連続で投手5冠を達成した。WBC日本代表として世界一に輝いたことも記憶に新しい。
ちなみに全国高校サッカーでは岡山学芸館が初優勝を果たし、全国高校駅伝男子では倉敷が大会新記録で優勝している。
なぜ今、岡山県人の活躍が目立つのか。県民性や地方都市に詳しい作家の岩中祥史さんは、「コロナ禍を経験したことで岡山の県民性が浮かび上がってきた」と分析する。
「岡山県人はとにかく意志堅固。向上心がめっぽう強く、欲も深い。一筋縄ではいかない、個性のとがった人が多いんです。コロナ禍で画一化された、“日本人らしさ”に対するアンチテーゼのような形で個性が爆発し始めたのではないでしょうか」
日本人はとかく波風を立てず、目立たず、平均的であろうとする。コロナ禍では、自粛警察やマスク警察なる言葉も聞かれ、周囲と同調しない者に対する圧力もあった。どこか持論を主張してはいけない空気感をぶち壊せる個性を岡山県人は持っているのだという。