隅々まで行き届いた、パーフェクトな完成品はつくれないが、急速に前進し、正しい方向に向かっているという確信をもつことができる。

 これから紹介する考え方のなかには、なじみ深いものもあれば、初めて聞くものもあるだろう。リーン開発やデザイン思考にくわしい人は、スプリントを通してそうしたアイデアを実地にあてはめることができる。アジャイル型の開発プロセスを用いるチームは、僕らの「スプリント」を異質だが補完的なアイデアと考えてほしい。

 こういった手法を聞いたことがない人も、心配は無用。大丈夫だ。

 この本は専門家であれ初心者であれ、大きな機会や問題、アイデアにとりくむすべての人に役立つ内容になっている。ここで紹介するどのステップも、100回を超えるスプリントを通して十分に試行、検証、計測され、増え続けるスプリント経験者のフィードバックによって精緻化されている。効果がないものは、そもそもとりあげない。

 巻末には、ショッピングリストや曜日ごとの進行表などのチェックリストを載せた。だから、読みながら全部暗記する必要はない。どんどん読み進め、スプリントを実行する準備ができたら、巻末でチェックリストが待っている。

 とはいえ、スプリントを開始する前に周到な準備をしておかないと、成功はおぼつかない。これからその準備をする方法を説明しよう。

(ジェイク・ナップ他著、櫻井祐子訳『SPRINT 最速仕事術』(ダイヤモンド社刊)のイントロダクションより)

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