今年の現役受験生は高校3年間すべてをコロナ禍で過ごした。そのため医療への注目は高く、国公立大医学部の人気は健在だ。本誌ではサンデー毎日、大学通信と合同で合格実績のある学校にアンケートを実施し、「国公立50大学医学科合格者ランキング」を制作。それをベースに、医学部に強い高校の秘密を探った。
【図表】ひと目でわかる!「国公立大医学部現役合格者数ランキング」医学部に強い高校はこちら(3枚)
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根強い人気を誇る医学部。理由の一つは新型コロナウイルスに関する連日の報道で、中高生の医療への関心が高まったこと。もう一つの要因としては、3年にわたる“移動制限”で、大学選びも“地元志向”が高まっている側面がある。
特に人気が高いのが、学費が他学部と変わらない国公立大学の医学部医学科だ。いまや東大や京大に進学しても、その先の進路が見通しにくい。医学部なら、卒業後の進路が安定しているというのが人気の理由の一つだ。
私立では東海(愛知)が69人の現役合格者を出した。浪人を合わせると100人に達し、16年連続でトップにつける。2位は洛南(京都)の48人、3位は久留米大附設(福岡)が43人。4位の灘(兵庫)も42人と続き、いずれも東大合格者数でも上位に名を連ねる高校だ。5位は39人で、東大寺学園(奈良)とラ・サール(鹿児島)が並んだ。
東大や京大のランキングではあまり目立たないが、医学部になると上位に入ってくる高校もある。7位の愛光(愛媛)や10位の滝(愛知)、11位の清風南海(大阪)、13位の智辯学園和歌山(和歌山)などがそうだろう。
対する公立高校は、1位の札幌南(北海道)や2位の仙台第二(宮城)など各地域のトップ校が並ぶ。これらの高校は地元難関国立大にも多くの合格者を出している。
私立は全体的に現役合格率の高さも際立つ。私立だとなぜ「医学部に強い高校」の特色が出るのか。大学通信情報調査・編集部の井沢秀部長は、こう解説する。
「医学部入試に向けた指導の場合、東大・京大のような難しい問題を解く能力よりも、共通テストや、総合大学の場合は2次試験もいかに失点しないかが求められ、逆転が難しいといえます。そうなると、先取り学習ができる中高一貫の私立がどうしても有利です」