佐藤輝明(写真/日刊スポーツ)
佐藤輝明(写真/日刊スポーツ)
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 今、球界で最も抑えるのが困難な打者の一人だろう。阪神の佐藤輝明だ。「投高打低」の傾向が進む中、本塁打を量産している。

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 今月8日のヤクルト戦(京セラドーム)の4回に高梨裕稔のフォークをすくい上げると、高々と舞い上がった打球は右中間へ。12球団最速でシーズン30号に到達した。10日の同戦でも、3回に奥川恭伸のスライダーを右中間に飛ばす31号ソロを放つなど4安打の固め打ち。リーグトップの本塁打、打点だけでなく、現在は.打率286に上昇して首位打者を狙える位置につけている。令和史上2人目の三冠王が射程圏内に入ってきた。

 目を見張る活躍ぶりに、バックネット裏で熱視線を送るメジャーのスカウト、編成担当の評価が急騰している。ア・リーグの球団スカウトはこう語る。

「打席を積み重ねるたびに進化している印象があります。甲子園でバックスクリーンへの本塁打が目立つように、引っ張りだけでなく中堅から逆方向への長打が多い。昨年まではスランプに入ると長かったが、修正ポイントが明確になっているのでしょう。今年は好不調の波が少ない。打撃技術で言えば、岡本和真巨人)や村上宗隆(ヤクルト)と遜色ないレベルに到達していると思います」

起用法の幅が広い

 佐藤は昨オフに球団と契約交渉した際、将来のメジャー挑戦を希望していることを伝えている。海外FA権取得は順調にいけば最短で2029年シーズンになる。現在26歳であることを考えると、球団に認められる形でポスティング移籍を目指すことになる。

「昨オフの時点ではメジャー挑戦はもう少し先の話になるかなと感じましたが、今年のパフォーマンスを見てメジャーの数球団が興味を示しています。佐藤輝の強みは打撃だけではありません。三塁の守備力が安定し、外野も守れる。首脳陣にしてみれば起用法の幅が広い選手です。何年後になるか分かりませんが、ポスティングシステムを利用してメジャー挑戦となれば複数球団が獲得に動くでしょう」(メジャーリーガーの代理人)

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