8月7日のヤクルト戦でピンチを抑えてほえる巨人・田中将大(日刊スポーツ)
8月7日のヤクルト戦でピンチを抑えてほえる巨人・田中将大(日刊スポーツ)
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 野球人生のターニングポイントになる登板だった。巨人田中将大が約3カ月ぶりの1軍復帰戦となった8月7日のヤクルト戦で、6回途中3安打2失点の粘投。日米通算199勝目はお預けとなったが、合格点の投球を見せた。

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「この登板で打ち込まれたら、残りのシーズンで1軍のマウンドに上がる機会がなかったでしょう。大きな重圧がかかる中でよく踏ん張ったと思います。次回登板は未定ですが、決して首脳陣の評価が低いわけではない。肩、肘の回復具合や今後の対戦相手を考慮して登板のチャンスがあると思います」(スポーツ紙デスク)

 序盤は完ぺきだった。最速149キロの直球にスプリット、スライダー、カットボール、ツーシームを織り交ぜて3回まで9者連続アウト。楽天時代から取材するライターは以前との変化を指摘する。

「近年はかわす投球が目立ったが、ストライクゾーンに直球を投げ込んで勝負していました。久保康生巡回投手コーチと二人三脚で取り組んでいるフォームに手ごたえを感じているのでしょう。体の使い方が縦振りで上から叩けるようになり、打者に近いリリースポイントになっている。140キロ後半の球速以上に打者は速く感じたと思います」

 この試合では打撃でも魅せた。3回に先頭打者で左中間に二塁打を放ち、泉口友汰の左前適時打で本塁に生還した。

 だが、ヤクルト打線の2巡目以降は慎重になりすぎた。1点リードの4回2死から連続四球を与えると、オスナに右前適時打を浴びて同点に。再び1点リードの6回は先頭の村上宗隆を二ゴロに仕留めたかに見えたが、増田大輝がファンブルする失策で出塁。二死後に長岡秀樹に四球を与えて一、二塁としたところで降板した。継投した船迫大雅が同点適時打を浴びたため白星の権利が消えたが、試合を作った点は評価できる。

 5回2/3で104球を投げて3安打2失点。他球団のスコアラーは、「これまでの登板との一番の違いは制球力ですね。狙ったところにきっちり投げられていた。4四球でしたが球を操れていました。生命線の直球を見せ球にするのではなく、勝負球で使えていたので変化球も生きてくる。この投球を続ければ、白星は自然に増えると思います。200勝も達成できるでしょう」と指摘する。

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