
今季復活した「88年世代」の大野
スター選手が多い「88年世代」も今年37歳になる。苦しんでいるのは田中将大だけではない。チームメートの坂本勇人は打撃不振で2度のファーム降格を味わい、46試合出場で打率.197、2本塁打、13打点。球界屈指の安打製造機で知られる秋山翔吾(広島)も、今年は若手の台頭で出場機会が激減。44試合出場で打率.257、1本塁打、4打点とベンチスタートの試合が目立つ。海の向こうでは前田健太がタイガースで5月上旬に事実上の戦力外になり、その後マイナー契約を結んだカブスでもメジャー昇格は叶わず、8月4日にヤンキースとマイナー契約を結んだことを公表。メジャー昇格を目指して戦い続けている。
38歳で現役引退を決断した球界OBは「30代後半になると、思い描いた動きができなくなる。今まで捉えていた打球をミスショットしたり空振りしたりすることで、自信も失われてしまう。投手も直球の球速が落ちることで以前のように抑えられなくなるので、投球スタイルを見つめ直さなければいけなくなる」と振り返る。
その中で、復活を果たした88年世代もいる。大野雄大(中日)だ。23年4月に受けた左肘の遊離軟骨除去手術の影響でこの年は1試合登板に終わり、昨年も9試合登板で2勝6敗、防御率4.87とふるわなかった。再起をはかる今年は初登板となった4月3日の巨人戦で田中将と投げ合い、5回4失点と黒星スタートとなったが、その後は尻上がりに安定感が増している。7月12日の広島戦では4安打1失点に抑え、3年ぶりの完投勝利をおさめた。
「大野の直球は145キロ前後と決して速くないが、緩い変化球をうまく使って、直球を速く見せる術を知っている。後はピンチを招いた場面での投球ですよね。投げミスがほとんどなく、試合の流れを相手に渡さない。速い球がなくても、絶対的な変化球がなくても、制球力と投球術を磨けば勝てる投手になれる。ウチの若手投手たちも参考にしてほしいです」(他球団の投手コーチ)