転職サイトにはネガティブな書き込みも多くみられるが、そうした情報も転職を検討する閲覧者にとっては有益な情報になり得るのも否定できないからだ。

 もう一つ、西川弁護士が指摘する「意外な落とし穴」がある。

 それは、転職サイトへの書き込みは退職者だとは限らないということ。退職した時期や書き込み内容から、「あいつが怪しい」と会社側は推測しがちだが、会社の推測が外れているケースも少なくないという。

 「開示請求してみたら書き込んだのは在職中の社員、しかも普段は会社への不満をつゆとも表に出さない社員のしわざと判明したケースもありました。『なぜあいつが……』といった動揺が社内に広がり、ダメージも深かったようです」(西川弁護士)

 ネット上では、会社名を挙げて「エンタメ」のようなノリで批判する退職者の動画やSNSの発信も見受けられる。「リベンジ退職」を防ぐにはどうすればいいのか。

 西川弁護士は「どれだけホワイトな企業でも、中には不満を持つ人がいるのは仕方のないこと」としたうえで、こう説く。

 「最も重要なのは退職時の労使双方の対応です。普段から研修などで退職のルールを学び、去る人も残る人も気持ちよく働き続けられる環境づくりが求められます。会社側もルールを正しく理解して、不適切な対応がないようにすることが必要です」

 在職中に嫌なことがあっても、退職時に気持ちよく送り出してもらえれば、わだかまりが一気に解消することもあるだろう。「去り際」が肝心だ。

(AERA編集部 渡辺豪)

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