
「私は疑り深いので、『本当かな』『私にできるかな』と不安で、数ヵ月悩んでいました。でも、このチャンスを逃したときのことを考えた方が怖くなったんです。結局、やってみないと何も始まらないと思って、参加することにしました」
家の中にモノがどんどんたまってしまった主な原因は、亮子さんの幼い頃の記憶にありました。きれい好きな母親が、亮子さんのモノを勝手に捨ててしまうことがあり、そのショックが大人になっても頭から離れないのです。自分のモノはもちろん、子どもたちのモノも手放すことができず、家の中のモノは増え続けます。気づいたときには、どこから手をつければいいのかわからず、片づけに悩むようになってしまいました。
散らかった家の環境は、家族にも影響していました。
「みんな『誰かがやるだろう』っていう気持ちで、押しつけ合っていましたね。モノを出した後、そのへんに置きっぱなしにしたり……。そもそも“片づけ”がどういうことか、私も含めて誰も知らなかったんだと思います」
亮子さんが始めた片づけは、家族も巻き込むようになりました。
キッチンを片づけているとき、料理好きの夫が鍋を取ろうとして、調味料をひっくり返したことがありました。そこで、「鍋と調味料の場所を交換したらいいんじゃない?」と話し合い、より使いやすい配置に変更することができたのです。
どこに何を置いたら使いやすいのか。家族と一緒に話しながら片づけを進めた結果、出したモノを戻しやすい仕組みが整っていきました。
また、プロジェクトでは片づけに悩む人同士が、一緒に学びながら進めていきます。その一環として、早朝に片づけを進める“朝活”に参加すると、亮子さんに大きな変化があらわれました。
毎日同じ時間に起きて、決めた時間だけ同じ作業をする。この習慣化された行動が、亮子さんにはとても効果的でした。