
左手がまったく動いていない!
前座の小じか、二ツ目の小はぜと、柳家の若い衆がきっちり丁寧に演じた後に出るのが、自由すぎる芸の林家ぺーとは。メリハリのある番組ではないか。
「余談なんですけど、年男なんです。36歳ですよ。嘘です、48歳です(笑)。若いと言われてるんですよ。気持ちがジャニーズですから。フォーリーブスですけど(場内、微妙な反応)」
ちょっと小ぶりなギターをつま弾きながら、取り止めのない話が続く。手元を見ると、弦を押さえるべき左手が、まったく動いていない!
馬るこの新作「糖質制限初天神」は、おかしな設定だが、物語は変にシリアスだ。
「白米が飲み物」という糖尿病予備軍の父親が、300円もらって初天神に行く。娘のあやかが見張り役でついていく。そば飯、ジャンボたこ焼きと、うまそうな屋台に涎を流すパパ。
「あれが欲しいこれが欲しいと言わない、いいパパだから、ご褒美に団子一本!」
これまでの働き詰めの人生を振り返り、団子を食べる正当性を訴える父親。他の参詣人から「買ってやれー!」の声。おみくじ二人分で200円。残り100円しかない。でも、団子は一本150円。同情した団子屋が100円に負けてくれる。何だか他人事とは思えない。思わず、最近丸くなってきた腹をさすってしまった。