「次の首相にふさわしい人物」のアンケート結果
麻生政権の末期、石破首相が「麻生降ろし」に動いたためか、麻生元首相と石破首相が犬猿の仲であることは有名だ。昨年の総裁選は、決選投票が高市氏と石破氏の戦いとなったため、麻生元首相は高市氏についた。だが石破首相が失脚したとなれば、今後、麻生元首相が高市氏を積極的に支援する動機はなくなる。
昨年の総裁選で高市氏の推薦人となった議員たちが、直後の衆院選で続々と落選したことも高市氏にとって大きなハンデとなるだろう。
とはいえ、高市氏に国民の人気と期待が集まれば、こうした問題は難なく解消されるはずだ。5月末の共同通信の世論調査で「次の首相にふさわしい人物」を尋ねたところ、回答者の21.5%が高市氏と答えている。4月の産経新聞の調査では、40.8%が高市氏に期待を寄せた。6月に選挙ドットコムが行った調査でも、19.9%の小泉氏に次いで、高市氏は15.5%と2位につけている。
衆参ともに過半数割れのため、実際に政権を担当するには、他党との連携が必要になる。国民民主党は与党入りの意欲をチラ見せしており、前述のとおり経済政策においては高市氏と方向性が近い。だが、故・大平正芳元首相の後継を自任する玉木雄一郎代表はハト派とされた宏池会的政権を望んでおり、その点では故・安倍元首相系の高市氏との親和性は高くない。
一方、参政党は高市氏と政治信条が似ているとされる。しかし、たとえばワクチン政策について参政党は見直しを提唱するが、高市氏はワクチンの国産化推進を持論とし、昨年の総裁選では「健康医療安全保障の構築」を提唱するなど隔たりは小さくない。高市氏から積極的に参政党との連携を模索する可能性は低いだろう。
今回の参院選の後、最大3年間は国政選挙がないと見られているが、衆院選はまさに常在戦場。その時に高市氏は、自民党の勝利の女神となりうるのだろうか。
(政治ジャーナリスト・安積明子)
こちらの記事もおすすめ 「次の首相」を狙う高市早苗氏が抱えるジレンマとは “過激”応援団に潜む危うさを指摘する声も