高市氏をトップに据え、国民民主と組むプラン
「高市早苗氏が首相だったら、ここまで劣勢になることはなかったはずだ」
参院選の当初から、与党関係者からはこうしたボヤキを何度も聞かされた。昨年9月の自民党総裁選において、高市氏は1回目の投票で181票を獲得してトップに踊り出たものの、過半数に及ばなかった。決戦投票では194票を獲得したが、2位だった石破氏が215票を獲得し、敗退した。岸田前首相や菅義偉元首相らが、石破氏を支持したためだった。
石破首相誕生の背景には、自民党の派閥が裏金問題で疲弊していたことがあった。裏金問題の発信源は清和政策研究会(旧安倍派)。高市氏も11年まで清和会(当時は町村派)に属していた。派閥の領袖でなく、清和会からも遠い石破氏は適任と見なされたのだ。
女性がトップになりにくい自民党の体質も影響しただろう。昨年10月に行われた衆院選では自民党の女性当選者の割合は9.9%で、れいわ新選組の44.4%や日本共産党の37.5%、立憲民主党の20.3%や国民民主党の21.4%と比較しても著しく低い。
にもかかわらず、今、自民党内で高市首相待望論が沸き起こっているのは、党内に深刻な危機意識が蔓延(まんえん)しているからに他ならない。参院選惨敗を受け、党内からは「こうなれば、所得税減税について国民民主党と近い考えの高市さんをトップに据えて、国民民主と組むしかない」といった声があがる。高市氏は「103万円の壁」の引き上げには賛成だ。