麻生元首相が高市氏を支持してきたが…
「ポスト石破」としてはもちろん、昨年の総裁選で3位だった小泉進次郎農林水産相や、次いで4位だった林芳正官房長官の名前も聞こえてくる。小泉氏はコメ高騰を受けて備蓄米を放出し、不振にあえぐ石破内閣の支持率上昇に大きく寄与した。だが小泉氏の44歳という年齢には、「総理総裁になるにはまだ若い」(自民党のベテラン秘書)との声もある。小泉総裁が誕生して自民党内で一気に若返りが進めば、日の目を見ることができなくなる議員が少なくないことも影響している。
林氏は、外相や文部科学相、農水相などを歴任し、実績も十分。「最も安定感がある」と評価され、官房長官という重職も難なくこなしている。全国で最も多くの首相が輩出してきた山口県では、10人目の首相誕生を期待する声もあがっている。
それでも高市首相を望む声が大きいのは、自民党が未曾有の危機にあるからだ。石破首相によって自民党の路線変更が進んで保守色が薄まったことへの焦りや、高市氏を21年の総裁選に導いた故・安倍元首相へのノスタルジーなどもあり、高市氏に期待の眼差しが注がれている。
だが、高市氏が容易に総理総裁になれるわけではない。総裁選に出馬して多数の支持を得るためには、高市氏の党内基盤の薄さがネックになる。実際、昨年の総裁選でも推薦人集めに苦労した。
昨年の総裁選では、決選投票で麻生太郎元首相が高市氏を支持。以降も麻生元首相は、「首相を狙うなら、飲み会に参加しろ」などと高市氏にアドバイスをしてきたが、次の総裁選で味方になるかは分からない。