
国内組のみで臨んだE-1選手権で、日本代表は3連勝を飾って大会連覇を果たした。最後の韓国戦は苦しんだが、日本の選手層の厚さ、Jリーグのレベルの高さをアピールする上では大きな収穫を得た大会となった。だが、W杯本大会のメンバー選考という意味ではどうか。実に15人の選手がA代表デビューを飾った今大会の中から来夏の北中米W杯行きの切符を掴み取る選手は、果たしているのだろうか。
まず最初に触れるべきは、大会5ゴールを挙げたジャーメイン良(サンフレッチェ広島)だ。相手が明らかな格下だったとはいえホンコン・チャイナ戦での怒涛の4得点、そして韓国戦での値千金のボレー弾は称賛に値する。リーグ戦19得点を挙げた昨季中に招集すべきで、リーグ戦4得点(そのうちPKで3得点)と苦しんでいる今季になっての招集は意外だったが、右シャドーでの起用がハマって本来の得点能力に火が付いた形となった。30歳という年齢でここからの上積みは期待薄も、来夏を考えれば十分に使える人材のはずだ。
だが、その年齢以上にネックなのが、シャドー起用での4得点だったこと。同ポジションは久保建英、鎌田大地、南野拓実、旗手怜央、鈴木唯人、さらに前田大然、堂安律、浅野拓磨、三戸舜介と多士済々の面々が揃う大激戦区。ジャーメインが候補に入ったことは間違いないが、東アジアでの4得点だけでW杯行き切符を掴めるほど甘くはない。ただ、1トップの隣でもう一つの“ボールの収め所”になることができ、プレーのバリエーションも多い。常連組とのコンビネーションを是非とも見たいところだ。
そのジャーメイン以上に本大会で“役に立つ”可能性を感じたのが、垣田裕暉(柏レイソル)だ。現在J1で首位に立つチームで細谷真大を押し除けてスタメンの座を掴んでいる大型FWは、E-1選手権でホンコン・チャイナ戦と韓国戦に1トップでスタメン出場。得点こそなかったが、豊富な運動量と効果的なランニングを軸に、守備の際には相手のボールを激しく追い続け、攻撃時には起点として働いた。試合の流れとチーム全体の疲労の影響はあったが、2試合とも垣田がベンチに下がった直後から日本の攻撃が停滞したことからも、この男の存在意義がわかる。
現在の森保ジャパンの1トップは上田綺世が第1候補。町野修斗が急浮上し、小川航基、大橋祐紀、古橋亨梧、さらに前田、浅野、細谷も控えるが、垣田の187センチのサイズ感での強烈なプレッシング能力は、過酷なコンディションでの戦いが予想される来夏のW杯ピッチでより効果的であり、不可欠なものになる可能性がある。