
うちの夫・妻は家事に協力的なほう。なのに、釈然としない。そんなときは、「家事リスト」が夫婦を変えるかもしれない。放送作家の野々村友紀子さんに聞いた。AERA 2025年7月14日号より。
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「私がやること、多ない?」
放送作家の野々村友紀子さん(50)は、違和感を覚えた。仕事が終わった後、両手いっぱいに買い物袋をさげて帰宅。生鮮食品は冷蔵庫に、トイレットペーパーはトイレの棚に仕分け、休む間もなく夕飯の準備に取り掛かる。
一方、帰宅した夫はたいていテレビを見てくつろいでいる。
「夫は家事に協力的です。でも、家事の量が全然違うのに、『同じぐらいやってる』感を出してない?」
夫は皿洗いを担当していた。しかし、帰宅が遅い日はうやむやに。
「私には、家事をパスする感覚がないんです。夫の代わりにやるのが当たり前になっているのが、納得いかなくて」
ある日「大爆発」
代わりに皿を洗う日は、ついガチャガチャと音が大きくなる。気まずさに気づいた夫が「手伝おうか?」と声をかけるが、「もう終わるんで大丈夫です」と突き放してしまう。
「もうちょっとやってほしい」
「俺もやってるけどな」
話し合いは平行線。子どもが生まれ、家事が急増したある日、「大爆発」を起こした。
「一度、家事がどれだけあるか見せつけよう」。家事のリスト化を思いついた。
1時間かけて、日々の家事を書き出した。ざっくり掃除、洗濯ではない。こまごまとした家事を含めて、140項目以上。
プリントアウトした数ページにわたるリストを、ベッドでくつろぐ夫に手渡した。
「やってる家事に〇をつけてみて」
夫は震える手でペンを握った。離婚届を突き付けられるくらいの気持ちだったらしい。最初は△をつけようとしたが、野々村さんは「三角はいらん」と一蹴。
結果、〇がついたのはわずか8項目だった。
その瞬間、「ほら、やってないじゃん!」と言いたい気持ちをぐっとこらえ、「私はこれだけのことをしているから、同じように意識してもらえたらうれしい」と伝えた。夫は「そうか……」と言葉少なに答えた。
だが、それ以降、夫の行動は変わった。
皿洗いをしたとき、今まで見向きもしなかったコンロの五徳を拭いた。山積みになっていた洗濯物をたたんでしまってくれた。
「これこれ! 家事が完結しているし、未来の家事にまで手が伸びてる!」と、野々村さんは感動した。
家事リストを見直して、2019年に『夫が知らない家事リスト』(双葉社)を出版。部屋の空気の入れ替え、洗濯のために色物と白を分ける、家中のゴミを集める、ゴミを分別する……など全211項目だ。このほか、季節や行事によって急に増える「イレギュラー家事」もある。