加害者は「透明人間」のように存在を消す

 子どもの性被害を防ぐため、子どもと接する職業に就く人に、性犯罪歴の確認を求める「日本版DBS」の導入に向けた動きも進んでいる。

 ただ、この制度は再犯の抑止にはつながる可能性があるが、初犯を防ぐことは難しい。

 斉藤さんが学校の管理職を対象に盗撮・痴漢などをテーマとした講演をした際も、現場の管理職たちは、なんとか性加害を入口で防ぐことができないかと強い危機感を抱いていたという。

 だが、「現場がいくら目を光らせても、加害者はいわば『透明人間』のように存在を消して景色に溶け込み加害行為を行う。逮捕されなければ治療にもつながらない、非常に難しい問題なんです」(斉藤さん)

 斉藤さんによると、学校内では教師だけではなく、子どもが性加害者になるケースも少なくない。

「今後は、学校で起こり得る性暴力に関連する問題について、子ども本人にも正確な知識を教える必要があるのではないかと感じています」

 増え続ける性被害を減らすために、真剣に向き合わねばならない難題である。

(國府田英之)

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