教諭の女児盗撮事件を受け、記者会見で謝罪する名古屋市教育委員会の担当者 (6月27日)
教諭の女児盗撮事件を受け、記者会見で謝罪する名古屋市教育委員会の担当者 (6月27日)
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 児童を盗撮した画像をSNS上のグループで共有したとして、名古屋市の小学校教諭らが逮捕された事件は世間に衝撃を与えた。その後も教員による児童盗撮などの事件が相次いでいるが、なぜ教員という職にありながらこのような犯罪に手を染めるのか。児童への性加害者らの治療に当たる専門家は「そもそも、学校は性暴力が起きやすい『危ない場所』だ」と指摘し、犯罪が起きにくい環境づくりの重要性を訴える。

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 6月24日、愛知県警に逮捕されたのは、いずれも小学校教諭で名古屋市の森山勇二(42)と、横浜市の小瀬村史也(37)の両容疑者。秘匿性の高いアプリを使い、約10人の教員らによるSNS上のグループで画像や動画を共有した疑いが持たれている。

 報道によると、森山容疑者は「学校だより」の作成担当で、普段から児童を撮影する立場にあり、撮った画像を悪用したとみられている。

 教員による児童への性暴力事件は後を絶たない。

 6月30日には、勤務する小学校の10歳未満の女子児童にわいせつな行為をしようとしたとして、広島市の小学校教諭の男(38)が逮捕。7月1日には本県で、勤務先の小学校の教室で女児のスカート内を盗撮した27歳の男性教諭が懲戒免職となったことが発表された。

 親世代が持っていた「学校は安全」という常識はもはや通じない時代になりつつあるが、専門家は「むしろ逆だ」と警鐘を鳴らす。

「そもそも、学校は性加害が起きやすい条件が整った『危ない場所』なのです。親や先生方には酷かもしれませんが、その事実をしっかりと認識し、危ない場所だという前提に立つ必要があると思います」

 そう指摘するのは、長年、性犯罪者の再犯防止などに取り組む精神保健福祉士・社会福祉士の斉藤章佳さん(西川口榎本クリニック副院長)だ。

 学校や家庭のように閉鎖的で、教師と児童、親と子、という絶対的な力関係が存在する空間は、性暴力が起きやすいという。事実、斉藤さんに寄せられる性犯罪関連の相談で、教員が加害者であるケースは多い。

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