今季30号本塁打を放った大谷翔平(ZUMA Press/アフロ)
今季30号本塁打を放った大谷翔平(ZUMA Press/アフロ)
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 ドジャース大谷翔平が7月1日のホワイトソックス戦で、5年連続30本塁打に到達するソロ弾を右中間に運んだ。日本人では史上初の快挙で、現役のメジャーリーガーでほかに5年連続30本を継続しているのはアーロン・ジャッジ(ヤンキース)のみ。大谷がメジャー屈指のホームランアーティストであることを証明している。

【写真】本塁打競争で疲労困憊になった大谷翔平

 だが、大谷は5年連続5度目の出場が決まったオールスター戦で、前日の恒例行事であるホームランダービーを辞退する意向を示した。メディア報道によると、「(負担の大きい)現行のルールだとなかなか厳しいので、今のところ、チャンスはないかなと思う」と語ったという。米国ではこの発言が大きな話題を呼んでいる。

「今のホームラン競争は選手が疲弊するデメリットが大きく、参加に前向きな選手が少ない。大谷の発言は選手たちの思いを代弁しています。ジャッジも出場を辞退しており、МLBを代表する両選手が出場しないことでこのイベントの価値が下がっている。ファンは大谷、ジャッジがホームラン競争で共演する姿を見たい。ルールの変更を検討するべきでしょう」(米国在住のフリーライター)

 MLBのホームランダービーは、制限時間内のサク越え数を競い、上位4選手が決勝トーナメントに進出。1回戦と準決勝が3分、決勝が2分の制限時間となっている。同点の場合は延長があり、飛距離によってはボーナスタイムが追加される。大谷はエンゼルス時代の21年にのみ出場。1回戦で2回の延長を含め5分間バットを振り続け、68スイングで28本のサク越えをしたが敗退。標高約1600メートルの高地で空気の薄いクアーズフィールドだったことも影響して疲労困憊になり、打ち終えた後は膝に手を突き、苦しそうな様子で「疲れた!」と叫んでいた。

 制限時間内にひたすら本塁打を狙ってフルスイングし続けることは体に大きな負担が掛かる。実際にホームラン競争に参戦した選手たちの中で、打撃に狂いが生じてしまうケースが少なくない。大谷は21年の前半戦84試合で33本を放ったが、オールスター後の後半戦は71試合で13本と失速している。

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