2度目の小泉改革の行方は

 小泉氏は備蓄米の随意契約による大量放出だけでなく、コメ作りの抜本的改革に乗り出そうとしている。全農に対しても、改めて、農家から直接買い取って自らリスクを取って売却する方式の強化を求めている。

 自民党との関係はどうなるのか。今年も5月の地域政策推進全国大会に自民党国会議員ら120人が参加したというが、農協の中から「毎年の予算獲得という目先の利益を追いかけすぎたのかもしれない。長期的な視点も必要だ」との声も漏れる。

 野村氏の「小泉農水相は党の農林部会に諮らずに勝手なことをやっている」という発言についても、小泉氏は「法律の運用や予算の執行は内閣の権限であり、いちいち党に諮る必要はない」と反論している。農協という既得権勢力、そこと政治資金で結び付いた農林族議員との関係を適切なものにできるかどうか、そこが農政改革が進むかどうかの分かれ目である。

 農政トライアングルはこれからも続くのか。それとも今回の令和のコメ騒動が変化を与えるのか。7月1日にあった政府のコメ政策に関する閣僚会議で石破茂首相は「生産者の皆様の所得が確保され、不安なく増産に取り組みるような新たなコメ政策に転換する」と述べた。コメ政策は従来と様変わりする可能性がある。2度目の小泉氏による農政改革の行方は7月の参院選の大きな焦点になりそうだ。

(経済ジャーナリスト 加藤裕則)

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