参政党の神谷宗幣代表
参政党の神谷宗幣代表
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 夏の参院選は事実上の「政権選択選挙」となる。政権与党は過半数を維持できるのか。政治ジャーナリストの角谷浩一氏と青山和弘氏が全選挙区の情勢を分析した。第3回は、九州地方の「当落予測」と政党別の現状分析を掲載する。

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角谷 鹿児島は森山裕幹事長のお膝元ですから、自民としては落とすわけにはいかないという空気があります。ただ、無所属の尾辻朋実氏は、すでに引退表明した自民の尾辻秀久前参院議長の三女です。朋実氏は当然自民から出馬するつもりだったのですが、公募で拒否され、県内に禍根が残っている。最後は朋実氏が競り勝つかもしれません。

青山 選挙区票の見どころは、1人区において自民がどこまで票を伸ばせるかです。山梨や新潟など、接戦の区を次々ひっくり返していくようだと、自民が快勝する可能性もある。立憲と共産は1人区での候補者一本化に向けて動いており、調整が進めば自民にとっては脅威です。ただ、あまり大々的にやると、立憲は“立憲共産党”と揶揄され、支持者離れにつながりかねません。

角谷 立憲は複数区では粘りを見せるでしょうが、党としての勢いはないですね。自民は西日本の1人区に関しては盤石で、テコ入れが必要だとすれば立憲が強い東北です。

青山 はい。自民の公約には、コメの安定供給を目的とした農家への支援策が盛り込まれますが、これは選挙戦での東北対策の意味合いも込められています。

角谷 自民にとっての救世主は、なんといっても小泉農水大臣です。国民の意識を「政治とカネ」から「コメ」へと見事にずらしてしまった。都議選は裏金議員が俎上にのぼりましたが、都議選までの逆風で終わるという見方もあります。

青山 政党支持率が回復してきたことで、自民内部は余裕ムードが漂っていましたが、都議選の結果で冷や水を浴びせられた形です。現状では、自民の比例議席は13か14くらいにとどまるのではないかと思います。

角谷 自民は選挙区と比例を合わせて50議席手前を取れれば善戦と評価され、よほどの大失敗をしない限り、党内で石破おろしが加速することはないでしょう。参院選では「政治とカネ」より、物価高対策など生活への不安が大きなテーマになる。有権者が各党の給付、減税政策をどう捉えるかがポイントです。

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