消費税減税を目指す「大義名分」ができる

 昨年の総選挙後の衆議院では野党が過半数をとり、衆議院の首相指名選挙で石破自民総裁と野田佳彦立憲代表の決選投票になったにもかかわらず、国民民主党などが野田氏に投票しなかったことにより、石破少数与党政権ができてしまった。

 またも、自民総裁と立憲野田代表の決選投票となるだろうが、国民民主がどう出るか。

 消費税減税が大きな争点となった選挙で、減税を主張した野党が勝ったのだから、減税を行えという主張を野党がしやすくなる。公明党も本来は消費税減税を唱えていた。選挙に負けた自民党は、消費税の減税を否定したまま政権を維持すると言っても、それは民意に反する主張だということになる。逆に言えば、消費税減税を掲げる政権こそが民意を正しく反映した民主的な政権だということだ。

 自民党は、政権にいなければ政治資金が集まらず、非常に苦しい思いをしなければならないということを過去の野党時代に嫌というほど思い知らされた。だから、何があっても政権を維持することを最優先するということでは一枚岩になれる。財政規律重視などというお題目は、政権維持のためなら簡単に放棄するだろう。

 野党の側も消費税減税は最優先すべき政策だということで、その実現に全力を尽くすことが有権者に応える道であると主張できる。

 ここまで言えば、あとはどうなるかはおわかりだろう。

 自公にどこかの政党を加えた連立政権を作って消費税減税を目指す「大義名分」ができるということだ。

 その組み合わせはいろいろありうる。

 自公国、自公維、自公国維という組み合わせが、おそらく最も難易度が低いが、私は、むしろ自公立という大連立の方を自民は選ぶのではないかと見ている。

 なぜなら、国民民主と維新は財政規律について比較的無頓着である。そのため、連立を維持するには際限なきバラマキ政策を実施することが必須になる。特に、国民民主との連立ではその傾向は顕著なものになるだろう。

 一方、自公立の連立の場合は、食料品税率ゼロを1年か2年やって、その後は消費税増税となる可能性が高い。参院選後は、自民と立憲が手を握れば、選挙なしの黄金の3年間が手に入る。その間に消費税を10%から15%まで段階的に引き上げる法律を通してしまうということも可能だ。なぜそうなるのか。

 トランプ米大統領の圧力により、現在の防衛費をGDP比1%から2%に引き上げるという自公政権の方針では間に合わない。少なくとも3%、中期的には3.5%プラス関連インフラなどの予算1.5%というNATO並みの増額を目指すことになる可能性が高い。元々自民は軍拡に熱心であるから、誰もそれを止めるものはいない。そうなれば、増税なしには予算は組めないのは自明のことだ。

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