石破・野田コンビなら息がぴったり合う
残念ながら、立憲野田代表は、バリバリの軍拡主義者である。そもそも、憲法違反であるために憲法改正なしには認められないはずだった集団的自衛権を憲法改正なしで憲法解釈の変更により認める道を開いたのは野田氏である。彼が首相を務めていた2012年の夏に、そのために設置した有識者会議に報告書をまとめさせた。
その野田氏が自民党と組んだらどうなるか。税と社会保障の一体改革ということを旗印に消費税の大幅増税を実現し、ふたを開ければ、増税分は軍拡予算に消えていくということが起きるのは避けられない。国が滅びれば社会保障も何もなくなってしまうという決まり文句で、庶民から巻き上げた消費税を軍拡に使うのだ。
ところで、仮に自公が参院選で過半数維持に成功したらどうなるのだろうか。
石破政権は継続する可能性が高い。しかし、その結果何が起きるかと言えば、選挙後すぐではないかもしれないが、自公立の大連立の可能性が一番高いと考えられる。税と社会保障の一体改革名目の消費税増税も大軍拡路線も石破・野田コンビなら息がぴったり合うのではないか。
そもそも、政治資金改革も選択的夫婦別姓も物価高対策も全て無策だと石破政権を批判しながら、結局石破政権を「信任」して、不信任案を出さなかった野田氏の本心は、何としても石破氏と大連立を組んで消費税を引き上げ、憲法改正と中国と戦う準備をするための軍拡を行うということだったのではないか。
そうでなければ、これだけ自民党批判が高まっているのに、不信任案を出さなかった理由を説明できない。
いずれにしても、参院選の結果が自公勝利でも敗北でも結局は同じことが起きる可能性があるということだ。
自民が、国民民主、維新との連立を選ばず立憲との連立に走る理由として、立憲が政権に入れば不信任案の提出により政権交代に追い込まれることがないのに対して、国民民主や維新(どちらも不信任案提出に必要な議席数がない)との連立では立憲による不信任案の提出を止めることができないという大きな違いがあることも忘れてはならない。
そして最後に、この大連立の生みの親がトランプ大統領だということも付け加えておきたい。
自動車・鉄鋼・アルミなどに25%関税をかけ、すでに実施中の一律10%追加関税に上乗せする14%というメチャクチャな関税を90日間猶予した結果、参院選最中の7月9日が期限となった。そのおかげで、野田代表が「国難」を理由に不信任案提出を見送る大義名分を得ることにつながった。
その上に、国防費増額の圧力をかけてくれたことで消費税増税が不可避と考える自民党が、立憲野田代表を国民民主や維新を除外して連立パートナーに選ぶしかない状況に追い込んでくれた。
トランプ大統領に足を向けて寝られない。それが今の野田氏の心境かもしれない。
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