維新代表の吉村洋文・大阪府知事
維新代表の吉村洋文・大阪府知事
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 7月3日の参院選公示日を直前にして、日本維新の会の低迷が止まらない。

【写真】兵庫県知事選で斎藤元彦氏を応援していた吉村・大阪府知事

 6月22日投開票の東京都議選では、現職1人を含む6人が立候補し、全員が落選。4年前の都議選で初めて1議席を得た勢いはすでにない。

「昨年の衆院選では東京の比例の得票が50万票を超えて2議席をとり、都議選は期待が大きかった。それがゼロだなんて、奈落の底に突き落とされたようだ」

 こう話すのは維新の国会議員A氏。そして、

「維新の支持が上がらない理由は、万博と斎藤知事だ」

 とぼやいた。問題が噴出する大阪・関西万博と、維新が支えてきた兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が、維新の足を引っ張っているというのだ。

 維新の代表である大阪府の吉村洋文知事は、都議選さなかに東京で候補者の応援のためマイクを握った。しかし、地元の大阪から離れているせいか、足を止める人はごくわずか。維新陣営のスタッフが、

「吉村知事が演説です」

 とチラシをまいて呼びかけるが、反応は乏しく、受け取る人は少ない。

 吉村知事が演説を始めても、

「スキャンダルはどうなった?」

 と所属議員のスキャンダルが絶えない状況にヤジが飛ぶ。

 吉村氏もあまり力が入らないのか、最後は、

「お時間があれば、絶対に損はさせませんので、大阪に来ていただきたい。万博にお越しください」

 と選挙応援の場なのに、万博のPRに余念がない様子だった。

「吉村知事は万博のことを都議選でもいろいろ宣伝していた。しかし、東京で万博に興味を持つ人は多くはない。聴衆の中には『何を言ってんだろう』と不思議そうにする人もいました」(A氏)

「大阪の失敗をなぜかぶるんだという不信感」

 大阪・関西万博は維新が発案し、誘致から開催まで維新が力を込めてきた。だが、維新と同様に“スキャンダル”が続いている。

 海外パビリオンでは工事代金の未払いが次々と発覚。すでに施工主を相手取って、民事訴訟を起こした工事業者もある。6月4日には万博の“ウリ”のひとつ水上ショーが開催されているウォータープラザで指針以上のレジオネラ属菌が検出され、水上ショーは休止に追い込まれた。

 都議選で維新陣営のスタッフとして活動していたB氏は、こう話す。

「万博が赤字になれば、税金から国民負担の可能性もある。東京では、大阪の失敗をどうして国民が税金でかぶるんだという不信感が根っこにあると感じます」

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