
かつては投手王国だったが…
柳はCランクではないが、推定年俸1億1000万円は実績を考えると格安感がある。あるパ・リーグ球団の編成担当者は「直球、変化球の質が高く、けん制、フィールディングとあらゆる能力が高い投手です。打線の援護に恵まれない登板が多いので勝ち星が伸びていないですが、先発として十分に計算ができる。FA権を行使すれば当然調査することになるでしょう」と明かす。
故障の影響もあり21年以来2ケタ勝利から遠ざかっているが、中日OBは「絶対に残留させなければいけない投手です」と力を込める。
「戦力として当然重要ですが、数字に表れない部分でもチームに与える影響力が大きい。若手の相談に乗り、ベテランと若手の橋渡し役になり、野手とも積極的にコミュニケーションを取る。ナインに慕われ、首脳陣にも頼りにされている。代えが利かない精神的支柱です。個人的には現役引退まで中日でプレーしてほしい。球団は残留に向けて最大限の誠意を尽くしてほしいですね」
かつては「投手王国」と形容された中日だが、現在は先発ローテーションに入っている20代の投手は高橋宏のみ。松葉、柳のほか、涌井秀章、大野雄大などベテランへの依存度が高い。ドラフト1位の金丸夢斗が将来のエース左腕として期待されるが、若手成長株の仲地礼亜、松木平優太は開幕からファーム暮らしが続いている。ソフトバンクから戦力外通告を受け、育成入団で4月に支配下昇格した三浦瑞樹は5月に2勝をマークしたが、6月以降は交流戦で3試合登板して防御率7.82と安定感を欠いて登録抹消された。
「若手の台頭に物足りなさを感じる中、松葉や柳がFAで他球団に流出となったら大きな戦力ダウンになります。昨オフにR.マルティネスが巨人に移籍し、新たな守護神として松山晋也が奮闘していますが、先発陣に計算が立つ投手が少ない。チームに残留してもらうためには、順位を上げることも重要な要素になります。低迷期が続いていますが、今年は混戦模様で上位との差が詰まっている。夏場以降、優勝争いに加わる戦いができれば、『このチームで来年以降も戦いたい』という心理が働く。2人はファンの人気が高い選手なので動向が注目されます」(中日を取材するスポーツ紙記者)
リーグ戦再開後の巻き返しに向け、松葉と柳の活躍が注目される。
(今川秀悟)
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