「シュフ型で注意したいのは家族への指示の伝え方です。揉めるケースで最も代表的なのは、自分が家事をしているときに暇そうにしているパートナーを見た瞬間なんです。ムッとしてしまうでしょうし、そんなときに感情のままに『〇〇しておいて!』と言っても、言われた側もムッとしてしまう。『私が買い物に行っている間に〇〇をお願いね』などと、『いつやるか』を伝えると受け手も聞き入れやすいと思います」

期待を少し下げてみる

「担当型」は事前に割り振られた家事をそれぞれが責任を持って果たす、いわゆるスペシャリスト集団タイプとも言えるだろうか。料理好きなら「料理担当」を、地域や学校のパパ友、ママ友などとの情報交換が得意なら「ネットワーキング担当」を任せるといった、適材適所の配置が肝要だ。

「この分類では相手に口出しは無用です。任せた以上は家事への取り掛かりが遅くとも信じてみる。でき上がりに不満があっても責めずに、まずは感謝を伝える。自分の中だけにある“家事のやり方の正解”を相手が当てるのは無理なので、どうしても改善してほしい点がある場合は、『いつまでにやる』『こうしてほしい』など、最低限のルールを設けておくのもいいかもしれません」

「ハイブリッド型」は「シュフ型」と「担当型」のミックス。家事をメインで受け持つ人(シュフ)に基本的な主導権があるものの、やり方は各担当者に任せる柔軟性を持った司令塔タイプといえる。

「担当が決まっている家事は責任を持ってこなしてもらい、担当が決まっていない、あるいは突発的に発生した家事は指示をするなどして柔軟に対応する。効率化が期待できる一方で、担当する家事以外はやらなくてもいいという思考に陥りがちで、『なぜやってくれていないのか』と、揉める要因になりえます。ここでも『いつやるか』を前もって決めておくのがいいと思います」

「自律型」は気がついたほうがやるという、皆がオールラウンドプレーヤータイプ。明確なルールに縛られることなく、各々が自主的に動くという意味で理想的にも見えるが、そこにも落とし穴があることに注意が必要だ。

「家事に対して“自分だけの正解”は誰しもが持っていると思います。だから、やってくれてはいるけど拭き残しが目についてしまうとか、衣服の収納の順序が気になるとか、少しずつ不満が出てきてしまう。気づけば『私のほうが負担量が多い』と感じることもあるでしょう。『こうしてくれるはず』という期待を少し下げてみることも家事シェアをうまく回すコツの一つです」

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